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【vol.03】第1話:迷いながらも、自分の道を見つけた。湘南を拠点に活動するアーティスト「Ryu Ambe」のストーリー

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カテゴリ:湘南の人

海や自然に囲まれながら、都心から電車で1時間ほどの場所にある湘南で、暮らしを楽しむ人たちを紹介していく連載「湘南の人」。


第3回目となる今回は、生まれてから今まで、ほとんどの時間を湘南で過ごしてきた、キャラクターデザイナーのRyu Ambeこと、安部竜一さん(以下Ryuさん)。まさに湘南を「地元」と呼べる人の一人です。


茅ヶ崎を拠点にしながら、世界に羽ばたくRyuさんを通じて見えてきた「湘南の街の魅力」について、紹介していこうと思います。


人と話すより、絵を描いているほうが楽しかった子供時代


JR茅ヶ崎駅から徒歩数分の場所にある、Ryuさんのアトリエ兼自宅。今回はここでお話を伺わせていただくことになりました。




室内階段を上がると屋根裏部屋のようなだだっ広い空間もある、とても珍しい間取り。ここで画を描くととても集中できるのだそう。天井が高く、どこかRyuさんの好きなアメリカを思わせる内装であるため、一目で気に入ったのだとか。


そんな自分にとって心地よい部屋と出合い、制作活動を続けるRyuさん。茅ヶ崎で、どんな子供時代を送られてきたのでしょうか。


Ryuさん:

「正確には生まれは浅草の方なんですが、生まれて数か月で、父の実家のあった茅ヶ崎へ引越してきました。以来ずっと住んでいるので僕にとっての地元はやっぱり、茅ヶ崎なんです。


子供時代はすごく静かな子だったと思います。冴えないっていうか、はしゃぐようなタイプではなくて。あまり自分の思ったことを言わない子でした。


だからかな。小さいころから人とコミュニケーションをとるより、絵を描いているほうが楽しかったんです」



Ryuさんの現在の絵は、ポップでキュートな、アメコミのようなのスタイルで描かれています。こうしたスタイルに興味を持ち始めたのは、幼いころにケーブルテレビで放送されていた「トムとジェリー」の影響が大きいのだそう。


Ryuさんの遊び心がたくさん詰まった、ビンのコレクション

Ryuさん:

「日本のアニメーションって、一言で言うと〇や△、□といった、形が明確で、きれいなものが多いんですよね。でもアメリカのアニメって、曲線が多いんです。幼いながら、その独特の表現に目を奪われてしまって。今でも鮮明に思い出すことができるくらいの衝撃でした」


右往左往しながらも辿り着いた答え。「絵を描く時間に集中できる暮らし」がしたい


幼いころから絵と向き合い、とにかく描き続けたRyuさんは、高校ですでにアートを学ぶために美術コースのある私立高へ進みました。ずっと我流で描いていた自分の絵に足りなかったものを知り、より学びを深めたのだそう。


高校卒業後も当然のように美術大学への進学を希望しますが、なかなか狭き門。思ったようにはいかず、服飾系の専門学校へと進みました。絵に携われるのならば、とファッションデザイナーの道も志したといいますが、こちらも簡単ではない道。熱量を持って突き進むほどの気持ちもなく、諦めてしまったと言います。



Ryuさん:

「もう、学生時代はずっと右往左往していました。進んでは壁にぶつかっては止めて、また別の道を見つけてもダメで、の繰り返し。


でもこのとき気づいたんです。僕が一番うれしいのは、誰かが自分の絵を見て、喜んでくれたり、心を動かしてくれたときなんだって。とてもシンプルな答えでした。


だったら無理に就職してお金の安定が得られる生活よりも、バイトをしながらでも絵を描くことに集中できる、精神の安定が得られる生活を選びました。


親も心配はしていたでしょうが、遠くで温かく見守ってくれていたのがうれしかったですね」


アーティストになる扉を開いてくれたのは、父だった


絵に集中できる環境を自ら選んだからといって、すぐに仕事が舞い込んできたわけではありません。しばらくはバイトを続けながら絵を描き続ける日々……。そんなとき、Ryuさんのデザイナーとしての扉が開かれる出来事がありました。きっかけとなったのは、お父様だったといいます。


Ryuさん:

「父が音楽関係の仕事をしている人で、よく同じ業界で働く仲間がうちに遊びに来たりしていたんですよね。そんなとき、僕が絵を描いて生活していることをある人に話して作品を見せたら『プロになれるよ』と言ってくれて。それがかなり自信につながりました。


その後、アーティストや画家という枠で音楽事務所に所属してみないか、と誘ってくれたんです。正直当時はよく分からなかったけど、とにかく何か道が開けそうだったんで、『ぜひ!』と入らせていただくことになりました」


事務所に所属してからは、プロの姿を目の当たりにして、自分がまだまだ及ばないと感じることもありました。反対に人に絵を見てもらう機会が増えて、自信をつけることもできたし、「やっていることは間違いないんだ」と思えることも増えてきたのだそう。


少しずつ、自分の力で扉を開き始めたRyuさん。自ら絵を持ち込んで交渉した初めての個展は、学校を卒業して5年ほどが経った26歳のころでした。


第2話では、Ryuさんの現在の活動と、湘南という「地域」と関わりながら作品をつくることになったきっかけについて伺ってみました。


text by : Asako Sakurai

>第2話(1月17日公開予定)

【vol.03】第2話:壁画で、街とつながる。Ryu Ambeのイラストが、人を惹きつける理由



Ryu Ambeさん

キャラクターデザイナー。1989年6月生まれ。

ポップ、キュート、シニカル、などをキーワードとした表現を通し活動している。


オリジナリティ溢れる色とキャラクターで、これまで数々のアパレルブランドや音楽フェス(SUMMER SONIC 2018, 2019)などとコラボーレーションをしたり、地元茅ヶ崎でのストリートアートが話題となり雄三ストリートやサザンストリート等街中至る所に壁画アートが描かれている。


ライフワークとして、気になる街に住むように旅をしオリジナル作品「TRIP DIARY ZINE」を発表している。




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